ユニバーサルサービス料とは、ユニバーサルサービス制度維持のために徴収される、電話の税金のようなものです。電話番号を使用するサービス(固定電話、携帯・PHS、IP電話、光回線など)を使用する利用者から、毎月の電話・通信料金と併せて広く徴収されています。
そもそも、ユニバーサルサービス制度とは何でしょう?
ざっくり言うと、主にへき地や離島など儲からない地域の固定電話、また携帯が普及し使う人が激減してしまった公衆電話、それと緊急通報(110番、119番など)を維持するために、赤字になっている金額の一部をみんなで負担しましょう、という半ば税金のようなものです。
※ユニバーサルサービス制度の詳細については、こちらのページをどうぞ。
昔、携帯もなかったような時代は、電話といえば電電公社(今のNTTグループ)でした。国鉄(JR)や郵便もそうですが、国のインフラの重要な部分については国有化されていた時代が長く続いたのです。それがいろいろあって民営化されることになり、今のようないろんなサービスが増えて競争が激化するもとになったのです。
競争が起きるのは、ある意味消費者にとって良いことではあります。料金が下がることが多いからです。会社は利益を上げるのが前提ですので、そのために当然顧客を多く獲得するか高い料金を取るか、となります。ですが競争が激しい場合高い料金となると顧客は離れますから、必然的に値下げやサービス合戦になります。
料金が高いということは、会社にもある程度のお金が残って余裕があります。会社全体である程度の利益が出ればよい、という考えで余裕があった時代は、都市部など儲かりやすいところの利益で、田舎や離島などの儲からない部分の赤字を埋め合わせることもさほど問題ではありませんでした。
しかし今の時代はそうも言ってられなくなりました。NTTは東西・県間(NTTコム)などに分割されました。部門ごとで独立したようなものなので、それぞれで採算を上げなければなりません。加えて新電電(DDI→KDDI、日本テレコム→ソフトバンク、ほか電力系など)による電話網の競争がはじまりました。若い方はご存じないかもしれませんが、マイライン制度が始まったころはかなり大騒ぎでした(サザエさんのキャラクターを使ったCMなんてのもありましたね)。
それに加えて、今の通信網の高度化・多様化が固定電話の衰退に拍車をかけています。携帯電話・インターネットが普及し、家庭などの集団から個へと通信の主体が移ってきたのです。これは小包以外の郵便(手紙)も大きな影響を受けているはずです。
KDDI・ソフトバンク以外の新電電・各通信会社などの多くは自社での回線を持ちません。NTTなどいくつかの通信会社以外は、NTTなどから回線を借りて営業するため、保守などの費用が安く済み料金を安くできる部分がありますが、回線を持っているところはその分の保守費用なども掛かります。
長くなりましたが、時代の流れでNTTには固定電話というある意味負の遺産を自社だけで支え続けられる体力がなくなってきた、ということだと思います。現に、固定電話用の交換機は特殊なため高価で、修理も困難を極め、2025年には交換する部品・機器が無くなるとさえ言われています。NTTが固定電話から光回線への移行を強力に進めている背景には、こういった一面もあるのです。
この制度がいつまで続くのかはわかりませんが、少なくとも固定電話の仕組みが残っている間はなくなることはないような気がします。