家の中に設置している無線LAN(Wi-Fi)がよく切れたり、つながらなくなったり、速度がかなり遅くなります。なぜでしょうか?

(2017/02/01、2018/02/08、9/19加筆修正)

住宅密集地では要注意?

Wi-Fi(無線LAN)でのトラブルはいろいろと考えられますが、私が多く相談をいただいている事例で最も多い原因は、近所のWi-Fi(無線LAN)の電波が混信・干渉して邪魔しあうことによる接続不良です。特に団地や集合住宅など、住宅密集地などでは頻繁に起こっているような印象をうけます。

何しろ無線ですから、目で見ることはできません。よって簡単に混信しているかどうかがわかりにくいのが難しいところです。

 

なぜ混信が起きるのか

この現象は、もともとのチャンネル割り当てが少ない2.4GHz帯で特に発生します。(ただし、5GHz帯でも36~48chだけしか使えない機器が集まったり、高速化のためにチャンネルを束ねる設定にした機器が集まったりすると発生することも…)
2.4GHz 帯は1~13chまでのチャンネルがありますが、隣同士のチャンネルは少しずつ重なり合っています。まったく重ならない組み合わせを考えると 1ch,6ch,11chのような、わずか3chしか使うことができません。

wifikon1

つまり、電波が飛び交う範囲に4軒以上の無線LANがあると、その時点で混信 を避けることができない、ということになります。

例えば、隣接するチャンネルに設定すると下の図のような形になりますが、この山が重なっている部分が混信となり、お互いの通信を邪魔することになります。

wifikon2

住宅地や市街地など、多くの無線LANが飛び交っているところに行くと、もっと酷いことも多いです。

wifikon3

上記の図はわかりやすくしましたが、実際はこの右にも左にもたくさんの電波が飛んでいることが多く、とても使い物にならないだろうなと一目見てわかることもあります。

 

Wi-Fi以外の電波が影響することも

また、これまでの調査等で、同じ周波数帯を使う電子レンジが近くにある場合や、太陽光発電システムの機器からの電波などでも妨害を受けることがわかっています。また、今後始まるBS/CSの4K・8K放送の電波の一部が、2.4GHz帯と重なることも判明しています。無線LAN同士の混信とこれらの妨害が重なると、ほぼ使えない状態になることも少なく有りません。

電子レンジを使用するときは使わない、あるいは使用する環境からできるだけ遠ざけるといったことも必要かもしれません。

衛星放送の電波については、そもそもその症状が出る場合、地デジなど他のチャンネルにも影響を及ぼしている(ブロックノイズなど、映りが悪くなるなど)可能性があります。
原因としては、開放型の分配器・分岐器(金属製ではなくプラスチックケースの形が多く、同軸ケーブルの外皮をむいて芯線をビス止めあるいは挟み込んで固定するもの)を使用している部分から電波が漏れている可能性が考えられます。
また配線の劣化・被覆の破れ(ネズミがかじったり)でシールドが取れなくなって同様に電波が漏れている可能性もあります(この場合映りが悪くなるといった症状で分かることもあります)。

なお、同じ周波数帯にはBluetoothなども有ります。無線式のマウスやヘッドホンなどが使えない、動きがおかしいといった症状として現れることも考えられます。

 

可能なら5GHz帯を使いましょう

5GHz 帯は、36~48ch(W52),52~64ch(W53)及び100~140ch(W56)の19チャンネルがあり、それぞれが重ならないように割り当 てられています。それぞれを倍速のため2チャンネルずつ束ねて使ったとしても、9軒までは混信しないようになっています。(3チャンネル以上束ねると条件はさらに厳しくなりますが…)

また、5GHz帯は2.4GHz 帯よりも電波の直進性が強く、遠くまで飛びにくいため、結果として近所同士の混信が起こる確率は下がります。

※5GHz帯を使用する際の注意点

5GHz帯の電波の一部(W53/W56)は、気象レーダー等と周波数が共用となっており、それらの電波を検知した場合は数分程度通信ができないような仕組みがあります(DFSと呼ばれます)。

また、W52/W53のチャンネルについては、屋外で使用することはできません。現時点では5GHz帯の2桁数字のチャンネルについては屋内のみで使用する、と覚えておきましょう。

 

どうやって調べたら良いの?

実際は現場で電波の飛び具合を調査する必要がありますが、多くの場合混信が確認されることが多く、それだけ無線LANの普及率が高くなっていることが伺えます。

私が使っているのは、Androidで動作する「Wifi Analyzer」という無料アプリです。広告が出ますが、気になるようであれば設定画面から消すことができます(1週間程度経つとまた出るのですが、何度でも消せます)。

ちょうど上のようなグラフが表示されるのでわかりやすいかと思います。

なお、WiFi以外の電波を簡単に見る方法はありません。

(2018/09/19追記)

上記で紹介している「Wifi Analyzer」ですが、Googleの仕様変更に伴いAndroid6.0以上では位置情報の権限を要求されるように変更されています。

位置情報に敏感な方については以下のアプリもご紹介しておきます。

  • Wifi Analyzer Classic … 同じ作者ですが、位置情報が要求されない別アプリを作成されたようです。使い方を変えたくない方へ。
  • WiFiAnalyzer (open-source) … 似たようなアプリですが、オープンソース版で広告も表示されません。権限要求が気になる方はこちらを。

(追記ここまで)

 

もちろん機械なので故障の可能性も…

混信していないのに良く止まる、無線LANルータの電源を入れなおすとまたつながるけれどしばらくするとまた止まる、そもそもあまり無線の電波が飛んでないようだ、といった症状の場合は、無線LANルータ本体の故障の可能性も考えられます。

経年劣化等で中の部品が悪くなり、電波が飛ばない・飛びにくいという症状になることもありますので、年数が経過したルータの場合は注意したほうが良いかもしれません。

 

(2018/09/19追記)

某家電メーカーさんからのアクセスが多いようなので追記しましたが、せっかくなので書き足して別記事にしました。よろしければご覧ください。

(追記ここまで)

 

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