【コラム】九州電力の「熱中症予防プラン」は本当にお得になるのか、検証してみた!

結論:熱中症予防プランより、ケーブルプラスでんきがお得!!

かつてない猛暑となった平成最後の夏。全国的に記録を塗り替える酷暑となっているようです。
そんな中、九州電力が75歳以上の人がいる家庭に対し、8月と9月の電気代を1割引きにする、という「熱中症予防プラン」を打ち出して話題になっています。

というわけで、早速調査してみました。
まず、このプランの割引が適用される条件は以下の通りです。

  1. 75歳以上の人がいる家庭であること
  2. スマートファミリープラン(又はスマートビジネスプラン)に契約すること(2年縛り契約になるので要注意)
    従量電灯Bやオール電化対応プランでは適用されません
  3. 九州電力に電話で(平日9~17時)申し込むこと
  4. 8月の検針日前日までに申し込むと8月・9月分が割引
    間に合わない場合、9月の検針日前日までに申し込むと9月分のみ割引
  5. 再生エネルギー賦課金は割引の対象外

結構めんどくさそうです。特に、3のウェブ等での申し込みができず電話だけ、というあたりが曲者です。
実際、九電への電話が全くつながらない、という話が漏れ聞こえてきています。

どうして電話のみにしているのでしょうか?
私が特にむむむ?と感じたのは、2の条件となっている「スマートファミリープラン」の内容です。

  1. 基本料金及び2段階目まで(~300KWh)の料金は従量電灯Bと同じ
  2. 3段階目(301KWh~)の料金のみ、従量Bより1.08円/KWh安い
  3. 2年縛りにする代わり、12ヶ月毎の最終月料金が777円割引
  4. ただし、口座振替割引(月54円=年間648円)は無くなります

口座振替の場合、実は2年間契約を縛られる割には、年間基本割引額が129円しか変わらないんです!!
月間の電気代が300KWhを超える(およそ9,000円前後)家庭だと多少メリットもあるかもしれませんが…

つまり、このプランに変更させるために電話での説明が必要、ということなのでしょう。

 

では、このプランに変更したとして、実際のところいくらくらい安くなるのでしょう?

そこで、わかりやすくするために総務省が発表している統計にあてはめて計算してみました。
2017年の統計で、2人以上の世帯の電気平均使用量は以下の通りです。

2017/123456789101112
電力量(kWh)467.149510.074487.631448.714365.508307.393314.261381.018388.427335.067336.983399.872

出展:家計調査 家計収支編 2017年年報(総務省統計局)

ただし、この統計は家計消費を基にしていますので、上の数字は支払った月が集計月になっています。
多くの場合、電気代は使用した翌月の支払いになりますので、実際は1か月前にずれる、として計算してみました。

当サイトらしく、CATV局が提供している「ケーブルプラスでんき」と比較してみます。(auでんきも同様の金額です)

電力量従量
電灯B
スマート
(通常)
スマート
(熱中症)
ケーブル
+でんき
151014,93414,74714,74714,324
248814,25614,09514,09513,677
344913,05412,93812,93812,529
436610,49610,47810,47810,086
53078,6788,7288,7288,504
63148,8938,9358,9358,714
738110,95810,92210,92210,527
838811,17411,13010,139 ※注110,734
93359,5419,5598,708 ※注19,345
103379,6039,6189,6189,404
1140011,54511,48611,48611,087
1246713,60913,47113,47113,058
年合計4,742136,741135,268 ※注2133,426 ※注2131,987
差額基準▲1,473▲3,315▲4,754

※総務省統計局、九州電力及びケーブルプラスでんきの資料を基に、当サイト独自作成
※注1:熱中症予防プランの説明を基に、割引対象の料金を1割引した後の金額
※注2:スマートファミリープランは契約年度の最終月に777円の割引があるため、やむなく合計金額から割引を行っています
※注3:ケーブルプラスでんきの割引は8,000円以上5%、5,000~8,000円未満3%で計算。ご加入のCATV他サービスを含めた合計利用金額より「セット割」として割引されます

どうでしょうか?
夏のクーラーを多く使う時期の1割引きはさぞ安いというイメージですが、年間を通して計算してみると思ってたほど差は大きくはないのではないでしょうか?

 

彼らの狙いは「2年縛り契約への移行」

見ていただいてお分かりのように、年間を通してみると「ケーブルプラスでんき」のように毎月コンスタントに安くなる、というシステムのほうが安くなることがわかります。おそらく、ほかの新電力各社のプランでも、似たような傾向になるのではないでしょうか。

では、九州電力の今回の狙いはいったいどこにあるのでしょう?

これは私(当サイト管理人)の勝手な想像(妄想)ですが、おそらくこの「1割引」を餌にして、携帯電話契約のような「2年縛り」(2年間は解約できない、解約する場合は違約金がかかる)の契約を大量に囲い込もう、ということではないでしょうか。
つまり、新電力への乗り換えがそれなりに(九電の想定以上に)多くなり、これ以上の流出を何としても防ぐ、という至上命題が課せられたように思えてなりません。統計は出てないので真偽のほどはわかりません。私の妄想だけであればよいのですが。

 

新電力への切り替えのほうが安いです!

ではこれが本当にお得なのかということなのですが、使い方によっては夏だけの1割引きでは割に合わない可能性があります。

例えば我が家の場合ですが、夏の電気代よりも冬の電気代のほうが高かったりします(ピーク時比較で倍以上違う…オール電化のせいもあるでしょう)。
同じように計算してみたところ、スマートファミリープランよりケーブルプラスでんきのほうが2,000円安くなりました。
その場合、夏だけ1割引きするよりも、その他の10カ月を地道に5%引きしたほうが、総額では安いことになります。
(ただし、オール電化の場合は「電化でナイト・セレクト」のようなオール電化用のプランにしたほうが安いですが…)

なぜこういうことが起きるのでしょうか?

  1. エアコンは温度差が大きいほど電気を消費するため。
    例えば、夏だと外気40度だとしても設定温度26度とすると差は14度しかありません。
    しかし、冬だと外気0度の場合、設定温度20度としても、差は20度になります。
  2. 冬のほうが日照時間が短いため。
    暗い時間が長いということは、それだけ照明を長く、多くつける必要があります。

他にも理由はあるでしょうが、これだけ考えても単純に冬のほうが電気代が高くなるのは容易に想像がつくことでしょう。

皆さんもぜひ、ご自身の検針票で確かめてみてくださいね。

 

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