ADSLは100年前の技術をもとに敷設された電話線(メタル線・銅線)に信号を流す形で通信を行っています。
電話線。名前の通り、もともと電話の音声信号だけが通ればよい、という設計で考えられた線でした。インターネットなどの通信に転用できる技術を開発する段階で、音声で使わない周波数の信号を乗せたらいけるんじゃね?くらいの勢いでのせてみたら案外それなりに使えたね、ということで(たとえが軽すぎ)。
日本では当初NTTはFTTHを普及させたいという思惑があったのか、ADSLにはさほど乗り気ではなかったようですが、その後Yahoo!BBが大々的にキャンペーンを張って一気にADSLを普及させた、という歴史的背景があります。
で広く国内に普及したのはよいのですが、それについてメリット・デメリットも広く知られるようになりました。
ADSLのメリットとはなんといってもコストの安さでしょう。
すでに家庭に入っている電話線を流用できるため、FTTHなど新規配線・新規機器の導入と比較すると、コストが圧倒的に少なくて済みます(状況によって宅内機器はユーザー自身での設置も可能なので人件費も浮く)。
それに対し、
- あくまでもメタル線なので、長距離になるほど信号の減衰が多くなり、速度が極度に低下する(しかも電話線なので途中で増幅などされない)。
- 既存の線を流用することが多いため、回線・配線の品質が均質でないことも多い(特に宅内の配線は曲がったり断線に近かったりすることも多く案外めちゃくちゃ)。
- 技術的に最高速度が数十Mbpsまでしか出せない(しかもそれも上記の理由で電話局から1km程度の範囲に限られる)。よって動画など高速通信を必要とするコンテンツには弱い。
- ADSLにも種類があり、ISDNと干渉の少ない方式(NTTのフレッツADSLで採用されたもの)と、海外から輸入された方式でISDNと干渉しやすい方式(Yahoo!BBで採用されたもの)がある。数としては後者が多いためたびたび速度低下が発生。
というデメリットがあります。日本特有のデメリットもありますね。
あくまでも安価で使えるから、ということで割り切って使うには良いのですが、ある程度の品質を求める向きにはなかなか使いづらい回線でもあります。
また、NTTは現在のメタル線をゆくゆくは全廃しFTTHに移行したがってますので(もう数十年前から言ってる)、そのうちADSLも同時に廃止されることになるのではないかという気がします。
発表当時は光回線どころかインターネット回線の常時接続環境という時点で高根の花でした。ケーブルテレビがインターネットで一気に攻めたのもそのあたりがあるのではないかと思います。
今やインターネット回線といえば徐々にFTTH・光回線に移りつつありますので、この辺の話が昔話になる日もそう遠くないのかもしれません。
ご覧いただきありがとうございました
★このページが役にたった!という方は、ぜひシェアをお願いします。
また、その他インターネット・ケーブルテレビ等に関する疑問があればこちらのページよりお送りください。私でわかる範囲であればお答えいたします。